染織、陶器、漆器など19世紀の工芸品を約1,600点収蔵。
かつての琉球王国・沖縄では、日本本土やアジア諸国との交流を通して独自の工芸文化が花開いた。
染物では、紅型と呼ばれる華やかな型染めの衣裳と、筒描の風呂敷や芝居幕がある。織物では首里の色絣や紋織物をはじめ、八重山上布や宮古上布など苧麻の絣、久米島紬、木綿の読谷山花織そして沖縄独特の芭蕉布など素材も色彩も技法も実に豊かである。焼物では壺屋窯を中心に、色絵・白掛の皿や碗をはじめ、抱瓶(だちびん)と呼ばれる三日月形の携帯用酒器や、厨子甕(シージガーミ)と呼ばれる独特の骨壺などが作られた。また、数は少ないが、漆器には朱塗りの酒器や冠入なども収蔵されている。
柳宗悦が初めて沖縄を訪れたのは1938年のこと。当時の沖縄には、建物や風俗、話し言葉にまで伝統が生きていた。太平洋戦争で多くの文化財が破壊された今日、本館の収蔵品は、戦災を免れた貴重なものとなっている。