アイヌの工芸 アイヌの人々によって作られ、また加工された衣裳、木工品、装飾品をはじめ、本州渡りの漆器など約360点を収蔵。 柳の眼差しは日本列島北方の先住民族であるアイヌの工芸品にも向けられた。服飾品では、切伏文様(アップリケ)や刺繍が施された独特の衣裳がある。これらの衣裳には、樹皮や草皮の繊維を素材にしてアイヌの人々が織ったものや、和人との交易によって入手した本州製の古着を仕立て直したものがある。刀下げ帯には、幾何学的な文様のほか切伏による文様が施されている。これらに見られる、十字文や括弧文、渦巻文などの独特の文様は、棒酒箸(イクパスイ)・小刀(マキリ)・盆・煙草入等の木工品にも表れている。また、本州や大陸から渡った多種多様なガラス玉を連ねた、「アイヌ玉」と称される首飾りも多数収蔵されている。これは柳宗悦による蒐集と、1994年に寄贈された小林泰一氏のコレクションから成るものである。