日本民藝館

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つきしま(築島物語絵巻)

Tale of Tsukishima, two handscrolls, color on paper, Muromachi period, 16th century. (roll 1) 30.4×775.4cm / (roll 2) 30.6×704.9cm

つきしま(つきしまものがたりえまき)

  • 紙本着色
  • 室町時代
  • 16世紀
  • 30.4 × cm

 柳宗悦が、日本民藝館開館一年前の一九三五年に見出した絵巻。当初は「表がぼろぼろで粗末にされていた」状態だったというが、その類い稀な美しさに驚嘆した柳は直ちに購入を決め、調査の末その物語が平清盛の経ヶ島築島の説話、すなわち「築島物語」であることを突き止め、『工藝』六三号(一九三六年六月)をその特集号とした。「こんなにも無法に幼稚に描」かれながら、「まがひもなく美しい」「画境」を持ったものと評し、極めて高い評価を与えている。  物語の内容は、平清盛が福原遷都の後、和田岬の沖を埋め立てて港を作る際、人柱を沈めることにより成就しようとした話である。  同時代の素朴絵に比して人物表現の描写が最も特徴的で、ほぼ同形の人物が衣裳を変えることで描き分けられる。人名が添えられた人物も場面ごとに衣裳が異なっており、描き手には特定の人物の衣裳を正確に描き分けようとする意図は見られない。  築島は、中世から近世初頭にかけて流行した幸若舞曲の一つである。幸若舞曲の中でも、室町時代後期から桃山時代といった早い時期に絵画化された例としては、「小敦盛」(ニューヨーク公共図書館蔵絵巻、もと奈良絵本)、「大織冠」(大英博物館蔵絵巻、もと大型奈良絵本)、「忠信継信物語絵巻」(大和文華館蔵絵巻、もと大型奈良絵本)などがあり、いずれも画技を習得しない描き手による、特異な素朴表現を持つ絵画が多く見られる。  なお、ほぼ同時代の作と考えられる築島物語の絵巻を、根津美術館が蔵している。根津美術館本は、物語最後の法華経を船に積む場面が巻頭近くに配されるなど、若干の錯簡も見られるが、構図はほとんどが当館本と同じと言って良い。根津本と当館本の間には、強い相互関係があることが伺われるが、根津本は稚拙な画風でありながらも、当館本に比すると格段に上手く描かれている。双方の詳細な比較研究が、今後の課題として残されている。(2013年「つきしま かるかや」展図録より)

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